残酷な果実。

『―この話には
　4 つのタイプのストーカーが登場する―

ひとつは
元恋人に対する執着から

ふたつめは
他者の意志を尊重することの出来ない選民思想によって
他者の “親切” を “愛情” と思い込む

みっつめは
対象への一方的な依存から
彼らは　いとも簡単にストーカーと化す。

最後は
楽しみ、 ゲーム としてのストーキング。
己の不満を不特定な対象に照準を合わせて追い詰め、 いたぶるもの。

そして　一応付け加えておくならば
もう一つ　特別な相手・スターやアイドルに対するもの、
スペシャルな相手に働きかけることによって、
自分自身がスペシャルな存在になれると妄想する者を含めて

人間である限り　誰もがこの 5 つのうちのどれかに
あてはまる可能性があり　どのタイプも
自己愛を恋愛だと勘違いしている。

彼らが実らせようとするのは　対象の破壊であるとゆうことに
彼らは　決して気付こうとしない。
何故ならば、自覚は　すなわち自己破壊とゆう果実を
実らせることになるのだから。』

吉野朔実　『恋愛的瞬間』
「残酷な果実 <後編>」月刊ぶ～け (1), 1997, p. 361.